床コーティングを「やらない」という選択も、間違いではない理由

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– 床と暮らしのはなし Vol.29 –

床コーティングを「やらない」という選択も、間違いではないと思う理由

「今回は、やめておきます」
「いろいろ考えたのですが、今回はコーティングをやめておこうと思います」

これまで営業として多くのお客様とお話しする中で、そんなお返事をいただくこともありました。
営業の仕事をしている以上、ご契約に至らなかったことを残念に思う気持ちは、もちろんあります。
でも私は、お客様が時間をかけて考えた末に出された結論であれば、その選択を尊重したいと思っています。

フロアコーティングを販売する会社の社長が、このようなことを言うのは、少し不思議に思われるかもしれません。
それでも、長年お客様と向き合ってきたからこそ、今は強く感じていることがあります。

私たちの仕事は、すべてのお客様にコーティングを施工していただくことではない。

今回は、そんな私の考えについてお話しします。

「やらない」には、ご家庭ごとの理由があります

「今回は家具に予算を使いたい」「今の床の風合いを、そのまま楽しみたい」「暮らしてみてから考えたい」。
どれも、住まいづくりの中で真剣に考えた末の、大切なご判断だと思っています。

コーティングが必要かどうかの考え方は、これまでのブログでもお伝えしてきました。

▶ 床コーティングは本当に必要?という疑問への、専門店としての正直な答え(Vol.2)
▶ 床コーティングで後悔するケース|現場を見てきた立場から思うこと(Vol.7)

今回はその先の、「見送られたお客様に、私たちがどう向き合いたいか」というお話です。

見送っても、選べなくなるわけではありません

新築の入居前は、床全体の状態を確認しやすいタイミングです。だから私たちは、新築時のご検討をおすすめしています。

▶ なぜ新築時の床コーティングをおすすめするのか(Vol.3)

けれど、見送ったからといって、選択肢がなくなるわけではありません。

UVフロアコーティングは、すでにお住まいのご自宅でも施工できます。もちろん、床材の種類や床の状態によっては、施工できない場合もあります。

数年暮らしてみて床のお手入れが気になってきた。家族が増えた。ワンちゃんを迎えることになった。暮らしが変われば、床に求めるものも変わっていきます。
「今は施工しない」という選択は、将来も施工しないと決めることではありません。
必要だと感じたときに、改めてご相談いただければと思っています。

▶ 家族が集まるリビングの床を、長くきれいに保つための選択肢(Vol.22)

美しい木目と自然な艶のあるフローリング

将来のために、一つだけお伝えしたいこと

将来フロアコーティングを検討する可能性があるなら、ワックスをかけずにおくことも、一つの選択肢です。
ワックスが塗られた床にコーティングを施工する場合は、基本的に事前のワックス剥離が必要となり、その分の費用が別途発生します。

また、すでにワックスをかけていても、剥離したうえでコーティングを施工できる場合はありますが、床材の種類や状態によっては、剥離作業によってフローリングを傷めてしまう可能性もあります。

もちろん、今すぐフロアコーティングを決める必要はありません。
ただ、将来の選択肢を残すためにも、こうしたことを知ったうえで、ご自身の暮らしに合った判断をしていただければと思います。

▶ なぜワックスではなく床コーティングなのか|私がお客様にお伝えしたい違い(Vol.6)

「売りたい」が先に立たないように

営業をしていた頃、私はいつも考えていたことがあります。
それは、目の前のお客様が本当に求めているものは何だろう、ということです。

説明を重ねるうちに、「おすすめすること」そのものが目的になってはいけません。
迷われている理由を、きちんと聞けているだろうか。予算のこと、仕上がりのこと、これからの暮らしのこと。その方が大切にしていることを理解しないまま、一方的におすすめしていないだろうか。

営業には、商品の魅力を伝える力が必要です。でも私は、それと同じくらい、お客様の考えを受け止める力も大切だと思っています。

ご契約にならなかったお客様とのご縁も、大切にしたい

私は、お客様との出会いの価値は、ご契約いただいたかどうかだけで決まるものではないと思っています。
たとえ今回は施工されなかったとしても、私たちの説明を通じて、床について少しでも理解を深めていただけたのであれば、それにも意味があると思うのです。

何年か経って床のことで困ったときに、「そういえば、以前相談した会社があったな」と思い出していただけたら、とても嬉しいことです。
だからこそ、一度のご相談をその場限りのものにせず、お客様とのご縁を大切にしたいと思っています。

ご契約いただくことだけが、お客様との信頼関係を築く方法ではありません。
お客様がどのような選択をされたとしても、誠実に向き合い続けることが、会社への信頼につながっていくのだと、長年の営業経験を通じて感じています。

社長になった今、社員にも伝えたいこと

営業の仕事には、売上や目標があります。会社として成長していくために、もちろん大切なことです。
だからこそ、数字を追いかけることだけが営業の仕事ではないと、社員には伝えていきたいと思っています。

・お客様の話をよく聞くこと
・良いことだけでなく、できないことも正直にお伝えすること
・迷っている方に、無理に決断を迫らないこと
・施工しないという結論になったとしても、最後まで丁寧に対応すること

こうした一つひとつの積み重ねが、会社への信頼につながっていくのだと思います。

最後に|選ばれなかったときにも、信頼される会社でありたい

フロアコーティングは、住まいをより快適にするための一つの選択肢です。
私たちはその価値を信じていますし、これからも自信を持ってご提案していきます。

でも、お客様が十分に考えたうえで「今回はやらない」と決められたのであれば、その選択も尊重したいと思っています。

施工していただいたお客様はもちろん、施工しなかったお客様からも信頼される会社でありたい。それが、営業を経験し、今は会社を預かる立場になった私の、変わらない想いです。


【次回予告】
Vol.30「艶なしのペット用フロアコーティング、本当に滑りにくい?|選び方と注意点」
をお届けします。

最近、愛犬と暮らすお客様から「できるだけ艶のない、自然な仕上がりにしたい」というご希望をいただくことが増えています。
落ち着いた仕上がりは魅力的ですが、「艶がないこと」と「ワンちゃんが滑りにくいこと」は、必ずしも同じではありません。

次回は、艶なしペットコーティングを選ぶ前に知っておいていただきたい、見た目とグリップ性能の違いや注意点についてお話しします。

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エコプロコート代表

この記事の執筆者

エコプロコート株式会社 代表取締役

このブログでは、フロアコーティングという仕事を通して見えてきた「床の保護」と「暮らし」について発信しています。14万件以上の施工実績に基づくプロの視点で、大切な床材を長期間守るための正しい知識や、お客様からいただいたリアルな声をお届けします。

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